12章で分けた「急性〜短期の不安」のうち、この章ではアレルギーとアナフィラキシーを深く見る。
12章では、接種直後〜数日の不安をこう分けた。
この章のゴールは、「何分後に、何が出たら、どの反応を疑うか」を整理すること。
接種直後に怖い反応は、全部アレルギーではない。
「ぐったり」だけで決めず、皮膚・呼吸・顔色・時間を合わせて見る。
確認したいもの:
アレルギーは「5種類だから起きる」というより、特定の成分に体が過敏に反応するかで見る。抗原、添加剤、製造工程由来の微量成分、容器の成分まで、理屈としては候補になる。
典型的なアナフィラキシーは、数分〜数時間の反応。
ここでの主役は「5種類あること」そのものではなく、本人が特定成分に反応しやすい状態かどうか。
肥満細胞は、皮膚や粘膜の近くにいる免疫細胞。
刺激を受けると、いろいろな物質を出す。
アナフィラキシーでは、これが局所ではなく全身で起きるのが怖い。
赤ちゃんでは、言葉で「息苦しい」と言えない。
皮膚だけで軽く済むこともある。呼吸や循環が絡むと急ぐ。接種会場で待つ理由はここ。
接種後に待つ意味は、「一番危ない時間帯を医療者の近くで過ごす」こと。
家で見るときは、熱だけでなく「呼吸」「顔色」「いつも通り反応するか」を見る。赤ちゃんは言葉で苦しさを言えない。
同じ「副反応」でも、意味がかなり違う。
赤みや発熱は「免疫が動いた結果」として説明しやすい。呼吸が苦しそう、顔色が悪い、ぐったりは別枠で見る。
5種混合で見る候補は、病原体成分だけではない。
実際には、どれか一つを疑うには「時間」「症状」「再現性」が必要になる。ここが副反応の因果関係を難しくしている。
出典: S2, S3, S13
家族歴は無視しなくていい。ただ、それだけで同じ反応が起きるとは決められない。
「なんとなく怖い」から一段進めて、「誰が、何で、何分後に、どんな症状だったか」をメモにすると相談しやすい。
アレルギーは、単純な足し算ではない。
ただし、成分候補が増えると「何に反応したか」は切り分けにくくなる。ここは混合ワクチンの弱点として残る。
米国Vaccine Safety Datalink研究の全ワクチン合計では、アナフィラキシーは100万接種あたり1.31件。
10万人に1人未満の桁。かなり稀だけど、起きたら急ぐ反応。
これは5種混合だけの数字ではない。全ワクチン一般の参考値として読む。
出典: S13
アナフィラキシーはかなり稀。稀なものは、製品別に正確な率を出すのが難しい。
だから、全ワクチンの大規模推定、製品の添付文書、実使用データを重ねて読む。
重いアナフィラキシーでは、アドレナリンが中心になる。
「待機時間」は、単に様子を見る時間ではない。必要ならすぐ薬を使える場所にいる時間。
この章では、「起きない」とは言わない。
不安を消すより、起こりうる範囲と備えを具体化する方が現実的。
接種直後に顔色が悪くなると、アナフィラキシーに見えて怖い。
ただ、痛みや緊張で起きる血管迷走神経反射もある。
家庭で判定し切る必要はない。医療機関で待つ意味は、この見分けにもある。
典型的な即時型アレルギーはIgEと肥満細胞で説明しやすい。
でも、ワクチン後の過敏反応は、IgEだけで全部説明できるわけではない。
だから「蕁麻疹があるか」「呼吸・循環があるか」「何分後か」を合わせて見る。
出典: S37
アレルギーで見る候補は、病原体成分だけではない。
「何かに反応したかも」と思った時は、成分名だけで決めず、症状と時間をセットにする。
出典: S2, S3, S37
腕や脚の腫れが大きいと、アレルギーに見えることがある。
局所の腫れは、免疫細胞と水分が集まる炎症として説明できることが多い。 ただし、全身症状がある時は別枠。
赤ちゃんを見る時、全部を完璧に観察するのは無理。
見る項目を絞る。
発熱だけを見ると、アナフィラキシーのサインを見落としやすい。呼吸・顔色・反応を見る。
初回で発熱や腫れがあると、次が怖くなる。
次を打つかどうかは、この資料だけで決めない。前回の時間・症状・対応を整理して小児科へ持っていく。