この章では、「作る時に使う」と「接種時にどれだけ残る」を分ける。名前の印象だけで判断しないための章。
ホルムアルデヒドは、毒素の無毒化やウイルス不活化に使われる。最終製品では、残存量として添付文書に記載される。
5種混合では、ゴービック0.02mg、クイントバック0.05mg以下。ここは「製造に使う」と「赤ちゃんに入る残存量」を分けて見る。
出典: S2, S3, S11
製造工程由来成分は、「完成品に目的成分として入れるもの」とは少し違う。
料理で言えば、調理器具や下処理に使ったものと、完成した皿に主材料として入っているものは違う。ワクチンではこの違いを、感覚ではなく添付文書の残存量で見る。
5種混合は、複数の抗原を別々に作り、精製し、最後に混ぜて製剤化する。
「工程で使う」と「最終製品にそのまま多く残る」は同じではない。
ホルムアルデヒドは、タンパク質の一部に反応して、構造や働きを変える。 この性質を利用して、毒素なら「毒性を落とす」、ウイルスなら「増えないようにする」方向に使う。
ジフテリアや破傷風では、病気の本体として強い意味を持つのは毒素。ワクチンでは、毒素をそのまま使うのではなく、毒性を落としたトキソイドとして使う。
ポイントは「壊しきる」のではなく、「危険な働きを落とし、免疫が覚える形は残す」方向に調整すること。
不活化ポリオ抗原は、生きたウイルスとして増えるものではない。免疫に見せるための抗原として使う。
5種混合に入るポリオは不活化ポリオ。ここでは「ウイルスが増えるか」ではなく、「抗原として免疫に見せられるか」を見る。
FDAは、ワクチンに残るホルムアルデヒドは体内にもともとある量と比べて小さく、安全上の心配にはならない、という立場を取っている。
ホルムアルデヒドは「人工物としてだけ存在する毒」ではなく、体内の通常の代謝でもごく少量作られ、処理される。
「体内にもあるから何でも安全」という意味ではない。ここで言いたいのは、毒性は名前だけで決まらず、量、濃度、経路、処理能力で変わるということ。
M199培地は、細胞培養に使う培地。ポリオウイルス成分は細胞を使って作るので、製造工程に培地が関わる。
最終製品中のM199培地は、ゴービック0.5mg、クイントバック0.9mg。培地名が怖く見えるけど、意味としては「製造工程由来の微量成分」。
出典: S2, S3
ウイルスは、単独で勝手に増えることができない。細胞の中の仕組みを使って増える。だから、不活化ポリオ抗原を作るには、細胞を育てる環境が必要になる。
培地は、最終製品の主役ではなく、抗原を作るために細胞を生かす環境。完成後は精製で減らされ、残った分が工程由来成分として扱われる。
細胞培養という言葉から、細胞そのものが大量に入る印象を持つことがある。
判断で見るべきなのは、どの細胞・培地・由来成分が工程で使われ、最終製品にどれくらい残ると記載されているか。
5種混合の製造工程では、ウシ・ブタ・ウマ由来成分などが使われることがある。
注意点:
動物由来成分の不安は、ひとつではない。
医学的リスク、宗教・倫理、気持ち悪さは、同じ言葉で語られがちだが別の問題。どれが自分の不安なのか分けると、医師にも聞きやすい。
ゴービック添付文書には、保存剤を含有していないため、チップキャップを外した後は速やかに使用する、と記載されている。
防腐剤なしは、ざっくり言うと「開けたあと長く置く前提ではない」という設計。成分として防腐剤を避けられる一方で、開封後の扱いは雑にできない。
出典: S2
ここは「防腐剤がないから絶対安全」でも、「防腐剤があるから危険」でもない。製剤の設計思想が違う。
家庭側で見るなら、かなり現実的にはこのあたり。
医療機関を疑うためというより、「自分たちが納得して受けるための確認」。聞き方は柔らかくていい。
全部が同じ運命をたどるわけではない。タンパク質、塩、金属塩、微量残存物では、体の扱い方が違う。
成分を「全部が蓄積する」と見ると、実態とずれやすい。
不安を小さく見せるためではなく、見るべき体内挙動を間違えないための分類。
「混ざっている」ことと、「全部が同じように蓄積する」ことは違う。
タンパク質抗原は、体内でそのまま長く働き続けるというより、免疫細胞に取り込まれて細かくされる。
「抗原が入る」とは、毒素や菌が病気を起こすために増えるという意味ではない。免疫に目印を見せるための材料として処理される。
不安として一番見たいのは、量、繰り返し接種、乳児の代謝・排泄能力、既往症。この4つ。
精製は、「目的の抗原を残し、不要なものを減らす」工程。
精製しても「ゼロ」とは限らない。だから添付文書には残存量や工程由来成分として記載されることがある。
「怖い名前があるか」だけで見ると、判断が荒くなる。逆に「承認されているから大丈夫」で流すのも、納得しにくい。
まず、どの製品を打つのか確認する ゴービックなのか、クイントバックなのかで成分量が違う。
次に、主役の抗原とアジュバントを見る 免疫反応と副反応に関わる中心。
そのあと、残存物と添加剤を見る ホルムアルデヒド、EDTA、培地、塩類など。
最後に、うちの子の条件に重ねる 早産、基礎疾患、アレルギー、発熱時対応、家庭の不安の強さ。
この資料で全部を白黒にできるわけではない。
「不明点があるから全部ダメ」でも、「不明点は無視」でもない。ここを一緒に抱えたまま決める話。
成分不安は、医師にそのままぶつけるより、具体的な質問にすると話が進みやすい。
目的は医療者を試すことではなく、自分の判断材料を具体化すること。